異説の牛に引かれて善光寺参り
その昔、現在の「布岩」下の村落に住む不信心で強欲な老婆がい‥申した。ガヒャっ
ある時、老婆が布をさらしていると、布引山釈尊寺の観音の化身である1頭の牛が現れて布を角に引っ掛けてそのまま走り去ってしまった。
老婆は大慌てて自分の布と牛を追いかけた。
‥‥‥と、ここまでは通説の牛に引かれて善光寺参りの冒頭と同じ流れになる。
異なるのはこの次。
『牛は途中にあった池へ立ち寄り、池水を飲んで走り去った‥‥』
この後は牛は善光寺の本堂へ入り、ウッシッシを追っかけて来た老婆もそのまま本堂へ突入するが、牛はドコにも見当たらない。
ガッカリして帰路に着いた老婆だったが、歩くごとに不思議と身体が浄化されていき、家に着く頃には善人に生まれ変わっていた。
その後、自宅の近くにある布引観音(布引山釈尊寺)へ詣でると、観音像の足元に牛が角に引っ掛けていった布が置かれていた。老婆は牛は観音が変化した姿だったことを悟り、観音に帰依する。
一方、観音が姿を変えた牛が喉を潤した池はと言うと‥、観音が口を潤した神聖な池水ということで、以後、地元ではこの池を「牛池」と呼び慣わすようになったと云われる。
牛池の場所はドコ❓
佐久郡の郷土資料によると、牛池の住所は「北御牧村(きたみまきむら/現在の東御市)の布下字岩下」‥‥とされているが、東御市の方でも現在、池の存在は確認できないとのこと。
おそらく時代を下りながら埋没したのだろぅかと。