長野・善光寺と牛の由来!「牛に引かれて善光寺まいり」の意味とは?
「牛に引かれて善光寺まいり」という言葉を聞いたことがありますか?
例えばこんなふうに使用されることがあります。
「この間、たまたま誘われて馬券を買ったんだ。全然興味はなかったんだけど、フタを開けてみたらちょっとした当りでさ! まさに牛に引かれて善光寺参りだよ」
はたして一体どういう意味なのでしょうか?
以下では「牛に引かれて善光寺まいり」の言葉の意味や由来を解説しています。
「業つくばりの老婆と牛の故事」
まずは「牛に引かれて善光寺まいり」の言葉の由来からご紹介します。
昔々のこと。善光寺の近くに住んでいながら、全く信心もなく、欲が深くて、ごうつくばりの老婆がいました。
ある日おばあさんが洗濯をした布を干していたところ、隣家の方から牛がやってきて布を角に引っかけてスタコラ逃げ出したものですから、さあ大変。
ケチなので布を諦めるようなことはしたくありません。
待て待てと追いかけていったところ、牛が逃げ込んだ先は善光寺でした。
ばあさんも同じように善光寺境内へ入りますが、マジックショーのように金堂の前で突然、牛の姿がパッと消えて見えなくなりました。
ばあさんは牛を探しますが、とうとう日も沈んでしまいます。
あきらめて家に引き返そうとしたその矢先、なんと!突如、老婆の頭上あたりがパッと光輝き、あまりにもの眩さに老婆は思わず背を向けてしまうほどでした。
光がおさまった直後、老婆が自らの足元を見てみると、なんと!「牛の涎(ヨダレ)」が床にありました。
その牛のヨダレをよく見ると不思議なことに和歌が浮かび上がり、次のような言葉が見えてきました。
「牛とのみ思ひはなちそこの道に なれをみちびくおのが心を」
老婆はこの和歌を見た途端、急に牛を追うのをあきらめて仏道に帰依し、布のことはすっかりと忘れて家へ帰りました。
いったい、この老婆に何があったのでしょうか?
老婆が仏道に帰依した理由とは?
実はこの和歌の「うし」は「牛」と「憂し(うし)」とを掛けた言葉でもあり、ヨダレの和歌の意味を紐解くと以下のようになります。
「牛だと思って鬱陶しく思うでない。”この道”におまえを導いてきた私の気持ちを・・」
ここでの”この道”とは善光寺への道を示した言葉でもありますが、「仏の道」の事も兼ね合わせて老婆を諭しています。
また「憂し」とは、「苦しい」や「辛い」の意味があり、苦しくて辛いと感じ続けると目の前が真っ暗になり、人生の先が見通せなくなってしまう。
まずは歯を見せて鏡の前で笑ってみよう!
笑う顔は幸福を呼び、人生の方向を大きく転換する力を持っています。
・・などと、いう仏道の悟り意味が込められています。
老婆のその後・・
後日、老婆が近隣の観音堂にお参りしたところ、なんと!観音菩薩の足元にあったのです!あのとき牛がひっかけていった布が!
ここで老婆は気づきます。
「やはり、あの牛は観音菩薩様であったのか・・ブツブツブツブツ(独り言)..アチョぉ~!..ブツブツブツブツ..ホォ~ぅ、、..ブツブツブツブツ..アタぁ~!」
そう悟った老婆は、よりいっそう信心深く善光寺参りを行い、極楽往生を遂げることができたそうです。
尚、この時の観音菩薩とは善光寺阿弥陀如来の脇侍であり、如来のお使いとして老婆を導いたものだと考えられます。
そして、この老婆が参拝に通った観音堂は「布引観音」と呼び、なんと!長野県の小諸に今も現存している観音様になります。
(布引観音については下記で少しご紹介します。)
「牛に引かれて善光寺参り」言葉の意味とは?
以上の老婆のお話からも分かるように「牛に引かれて善光寺参り」とは「牛車に乗って善光寺にお参りしたよ」・・という意味ではなく、他人の誘いで思いもかけず物事が良い方向へ向かったことを「牛に引かれて善光寺参り」と言います。
また、実際に他人の誘いを受けて、たまたまどこかへ出掛けることも「牛に引かれて善光寺参り」と表現することがあります。
しかし注意しなくてはならないのは、出掛けた結果として、「自分が良い思いをした」、「良いことがあった」、「出掛けて良かったぁ~コノヤロウっ!ヒぃゃっホぅ!」・・と感じられるようなことに限るのです。
注意!「牛に引かれて善光寺参り」こんな使い方は間違い!
同じ誰かに誘われた結果であっても、こんな言葉の使い方は間違いです。
「牛に引かれて善光寺参りで、友達に誘われて馬券を買ったけど、全然当たらなかったよ」
もしくは、
「友達に誘われて馬券を買ったのが切っ掛けで、今じゃすっかり競馬にハマっちゃって、毎月何万もスってるよ! 牛に引かれて善光寺参りだな!」
・・などと、このように結果が良くないほうに転んでしまったケースについては「牛に引かれて善光寺参り」という言葉を使うのは間違いですので注意が必要です。
【補足】小諸・布引観音とは?「場所(地図)と行き方」
まず「小諸」とは「こもろ」と読み、これは「長野県小諸市」のことです。
この小諸市には「釈尊寺(しゃくそんじ)」と呼ばれる日本屈指の秘境の寺院として名高いお寺があります。
それもそのハズです。なんと!
この寺院は崖に面して断崖絶壁に堂舎が建てられているからです。
実はこの堂舎こそが上述の観音堂であり、この観音堂を含めた釈尊寺が「布引観音」と呼ばれています。
布引観音(釈尊寺)の詳細
創建年:724年(養老8年/奈良時代)
宗派:天台宗
山号:布引山
札所番号:信濃三十三観音霊場・第29番札所
御本尊:聖観世音菩薩像
開基:行基菩薩
しかし上述の話が事実であったとするのであれば、老齢のオバァこの断崖絶壁を登って布引観音へお参りにいったということになります。
これは相当な並々ならぬ信仰心を持っていたのだと考えられます。オホ
長野・善光寺から布引観音(釈尊寺)への行き方と地図
乗用車を利用してアクセスする場合
長野善光寺から布引観音までの距離:約60km
長野善光寺から布引観音までの所要時間:約1時間10分
布引観音の駐車場料金と布引観音までの所要時間
駐車場の料金は無料。駐車場から徒歩15分ほど参道を登ります。
公共交通機関を利用する場合
JR長野駅
JR新幹線・東京行きへ乗車
↓
所要時間:11分
↓
上田駅
しなの鉄道へ乗り換え(小諸行きへ乗車)
↓
所要時間:21分
↓
しなの鉄道小諸駅
↓
徒歩約:1時間
タクシー:約15分/距離:約4.5キロ・タクシー料金:2500円以内)
↓
布引観音(釈尊寺)
総計所要時間:徒歩:1時間49分(乗車32分)/タクシー:約1時間
総計料金:1840円(乗車券980円 特別料金860円)
布引観音(釈尊寺)へのお問い合わせ先
住所:長野県小諸市大久保2250
電話番号:0267-23-0520
拝観料:無料
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