善光寺では、1年の間に限られた日だけ、「ぬるでの杖」と呼ばれる「棒をいただくことのできる日」があります。
一般では聞き慣れない「ぬるで」ですが一体何のことなのでしょうか。
以下ではこの謎を解き明かしています。
「ぬるで(白膠木)」=うるし科の木
「ぬるで」は植物の名前で、うるし科の木です。
画像引用先:https://ja.wikipedia.org
白またはピンク色の、細かい花をつけ、見た目にはかわいらしい姿をしていますが、うるし科ですので、若木に触れてかぶれる人もいるようです。
ぬるでの木は、仏教においては聖徳太子がぬるでの木で作った四天王像を信仰し、廃仏派であった物部氏に勝利した……との言い伝えがある、仏教信仰にご縁の深い木です。
ぬるでの杖は、この木の枝で作られた小ぶりの杖です。
善光寺で1月15日「東門開き」だけ授与される
善光寺では、12月1日から、年末年始行事が始まります。
12月中は注連縄を張ったり、祈祷が行われ、12月28日にお煤払い。
そして1月1日からは、元旦の朝拝式をはじめとしたもろもろの祈願が行われます。
ぬるでの杖が登場するのは、1月7日~15日にかけて行われる「御印文頂戴」の最終日、1月15日だけ。
1月15日をもって、正月行事は終了となるのですが、15日の行事を特別に「東門開き」と呼びます。
東門開きのときは、日常的に締め切りとなっている、善光寺本堂の西側の扉が開かれることになっています。
そして、このときに限り、参拝者には「ぬるでの杖」が授与されるのです。
東門開きの日の御印文は特別
善光寺では、1月7日~15日の間は、「御印文頂戴」という年始儀式が行われています。
参拝者の頭上に、善光寺如来の分身と言われる三種の御印を戴かせ、心願成就や極楽往生を祈ります。
しかし、15日だけは特別です。
善光寺の縁起について記されている『堂童子絵詞伝』には、14日までの御印文頂戴は、現世の安穏を祈るものですが、15日だけは、決定往生(必ず往生するよう保証したる!)を祈るものである、としています。
ぬるでの杖は、この決定往生に深く関わりを持つ杖です。
ぬるでの杖もまた、御印と同じく善光寺如来の分身であり、持つ人の極楽往生を導く杖であると言われているのです。
ぬるでの杖の使い方3つ
ぬるでの杖は、善光寺でいただいた後、以下のようにして使うことができます。
いただいた人が亡くなったとき、棺に入れる。
極楽浄土へ導いてくれると言われている。
善光寺で行われる盂蘭盆会で、太鼓を叩く棒に使う。
ご先祖様、仏様とのご縁のしるしとする説もある。
年末の煤払いに使う。
厄払いのしるしとする説もある。
最終的には棺に入れることになりますので、何度も善光寺を訪れて何本もいただいた場合でも、それを丁寧に取っておく方が多くいらっしゃいます。
ぬるでの杖をいただくには?
1月15日、早朝6時から始まる「東門開き」に参拝致しましょう。
開門は6時ですが、午前5時前には数十名の行列ができるのが常ですので、出遅れのないように善光寺本堂へ参り、ご案内に従って開門を待ってください。
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